タイ仏教行事カレンダー

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Tham Bun

タンブン功徳を積む行い

ワンプラやウィサーカ・ブーチャーの日に、タイの在家の仏教徒が功徳を積むために行うこと(布施・戒・瞑想・随喜など)と、その経典の根拠をまとめました。

タンブンとは

タンブンは、タイ語で「功徳(ブン)を積む(タム)」という意味の言葉です。寺に参って僧に食べ物を供えることから、戒を守ること、瞑想すること、人の善い行いを喜ぶことまで、功徳になる行い全体を指します。

ふだんから行われますが、ワンプラ(布薩日)や、マーカ・ウィサーカ・アーサーラハの三つのブーチャーの日には、日頃にまして多くの人が寺に参り、タンブンに励みます。

パーリ三蔵では、功徳を生む行いの基本を次の 3 つにまとめています(増支部 8 集 36 経「福業事経」)。

  1. 布施(ダーナ): 僧や困っている人に施すこと
  2. 戒(シーラ): 五戒などの戒めを守ること
  3. 修習(バーワナー): 瞑想などで心を育てること

行事の日に行うこと

布施をする

朝、托鉢の僧に食べ物を供えたり、寺に参って食事や日用品を寄進したりします。

五戒を守り、八戒を受ける

ふだん守る五戒(殺さない・盗まない・よこしまな性の関係を持たない・嘘をつかない・酒などに酔わない)を、この日はいつも以上に心がけます。

さらに、寺に泊まるなどして一昼夜のあいだ八戒を受ける人もいます。八戒は、五戒の「よこしまな性の関係」を「性の関係をすべて断つ」に改め、次の 3 つを加えたものです。

  • 正午を過ぎたら食事をしない
  • 歌舞・音楽・見せ物を楽しまず、花飾り・香・装身具で身を飾らない
  • 高く豪華な寝台を使わない

この八つを一日守る布薩(ウポーサタ)を、ブッダは大きな果報のある行いとして説いています(増支部 3 集 70 経、8 集 41 経)。

説法を聞き、瞑想する

寺で説法を聞き、読経や瞑想をして過ごします。

三宝を思う

行事の日には、日頃にまして三宝(仏・法・僧)への思いを強めます。

増支部 3 集 70 経は、布薩の日の過ごし方として、ブッダの徳を思い起こすこと(仏随念)、教えの徳を思い起こすこと(法随念)、僧の徳を思い起こすこと(僧随念)を挙げています。心が清らかになり、喜びが生まれると説かれます。

心の持ち方として勧められること

見返りを求めない布施と「布施の瞑想」

布施は、品物を渡すことだけで終わりません。見返りを求めずに施し、施したあとで自分の布施を静かに思い起こすことも、心を育てる行いとされます。

経典ではこれを「捨随念(チャーガーヌッサティ)」と呼び、六つの随念の一つに数えます(増支部 6 集 10 経)。物惜しみの心に染まらず、気前よく手放し、分かち合うことを喜ぶ自分の心を思い起こすと、その間は心が貪り・怒り・迷いにとらわれない、と説かれます。日本語で「布施の瞑想」と呼ぶものは、この捨随念に当たります。

慈悲を育てる「慈悲の瞑想」

生きとし生けるものの幸せを願い、その思いを広げていく瞑想です。

小部『経集』の「慈経」(1 章 8 経)は、「一切の生きとし生けるものが幸せでありますように」と願い、母がただ一人の子を命がけで守るように、すべての生きものへ限りない慈しみの心を育てよ、と説きます。

慈(メッター、幸せを願う心)と悲(カルナー、苦しみがなくなるよう願う心)は、喜・捨と合わせて四無量心と呼ばれ、四方へ広げる瞑想が説かれています(中部 7 経)。

人の幸せを喜ぶ(随喜)

人の幸せや善い行いを、嫉妬せずに自分のことのように喜ぶことも勧められます。四無量心の「喜(ムディター)」に当たる心です(中部 7 経)。

タイでは、人がタンブンをしたと聞いたときや、読経の終わりに、合掌して「アヌモータナー・サートゥ」と唱える習わしがあります。「アヌモータナー」は人の功徳を共に喜ぶこと、「サートゥ」は「善きかな」という意味のパーリ語です。タイでは、三蔵の三つの福業事を十に広げた「十福業事」もよく紹介され、その一つに「人の善い行いを喜ぶこと」が数えられています。

魚や鳥を放つ習わし(放生)

行事の日に、捕らえられた魚や鳥を買って川や空に放つ人もいます。命を助けることで功徳を積むという、タイで広く行われる習俗です。

このカレンダーでは、行事の日に放生を行う定めを三蔵の中に確かめられていません。そのため、ここでは経典に根拠のある行いと分けて、習俗として紹介します。

なお、放すために動物が捕らえられ、放したあとにまた捕まえられて売られることもあり、動物愛護の点から見直す動きもあります。バンコクの寺の中には、放生用の生きものの販売をやめたところもあります。

出典